今回のテーマは「自己肯定感と家庭環境」です。
前回は自己肯定感が低いことが恋愛依存に繋がるという説明をしました。前回の内容がまだの方は先にご覧ください。
自己肯定感が低くなってしまう原因は様々ですが、その中でも特に大きな影響を与えるものが、子どもの頃の環境です。自己肯定感が低くなってしまったのは決してあなたのせいではありません。そのような環境で育ったということです。
今回は自己肯定感と子どもの頃の環境の関係についてお話します。
自己肯定感と家庭環境
自己肯定感について
まずは前回のおさらいです。自己肯定感とは、「自分という存在に対する肯定的な態度」のことです。自分は自分のままこの世の中に存在していいんだ。という存在レベルの肯定です。存在レベルの肯定なので、能力は関係ありません。
しかし『自己肯定感が低いという方の多くが、自己肯定感を高めるためには能力やステータスを高めないといけない』と勘違いしています。この勘違いこそが、その人の自己肯定感を下げてしまう最大の要因です。
なぜなら、能力を高めないと自己肯定感が高まらないということは、『能力が低い自分には存在する価値がない』と言ってるのと同じだからです。それは自分を否定していることになりますよね。
そして、こう勘違いしてしまう最大の原因こそが子どもの頃の環境にあるのです。
環境の与える影響
「自分は自分のままこの世の中に存在していい」という感覚が自己肯定感ですから、それが低いということは「自分はこのままではいけない、このままでは存在する価値がない」と思っていることになります。
ではなぜこのままでは存在する価値がないと思ってしまうのか?それは子どもの頃に家族や社会との関わりの中で、そういうふうに思い込んでしまったからです。環境的な要因なので、あなたが悪いわけではありません。
ここでは、環境の与える影響の代表的なパターンをいくつか紹介します。
1.親の虐待、育児放棄
最も代表的なパターンが親の虐待や育児放棄です。子供は親からそのような態度を取られると、「自分は生まれてきてはいけない子だった」という風に自分自身を評価してしまいます。
ありのままの自分で生きていて良いとは思えません。悪いのは親であっても、子供はそうは思わず「自分がうまれてきてはいけなかったんだ」という風に自分を評価してしまうのです。当然自己肯定感は低くなってしまいます。
2.厳しいしつけ
虐待とまではいかなくても、親が厳しかったり、教育熱心だったり場合も、自己肯定感は低くなりがちです。厳しいしつけは、子供が自然体でいることを否定し、こういう風に育たなきゃいけないんだ!という親の考えた通りにコントロールしようとします。
子供の個性を無視して、親の思った通りの子供に育てる。子供は当然、「ありのままの自分で良い」なんて思えるはずがありません。
結果として自己肯定感が下がってしまうのです。そして「自分の価値を高めるためには周囲の期待に答え続けなければならない」と勘違いしたまま、能力を高め続けることになります。
3.良い子であることを求められる
しつけが厳しくなくても、親の態度が良い子であることを求めすぎることで自己肯定感が下がってしまう場合があります。良いことをしたときだけ褒める、悪いことをしたら叱るという賞罰教育です。良いことをしたら褒められる。失敗したら怒られる。これを繰り返すと、「私は常に良い子でいなければ」という意識が強くなります。
その結果、親や周囲の人が褒めてくれることを率先して行う良い子に育ちます。しかしそれは、本当の自分らしさを犠牲にした良い子です。「常に良い子でいなければ」というのは裏返せば「良い子でなければ存在する価値がない」というメッセージでもあります。結果として自己肯定感は下がってしまいます。
自分自身を見失い、周囲の期待に答えることで自分の価値を保とうとする。その結果、承認欲求ばかりが強い人になってしまいます。他者の評価で自分の価値を保とうとする。過剰に周りの人に気を使ったり、周りの人にすごいと思われるために自分磨きに励んだり、そうやって自分の価値を保とうとするのです。
このケースは非常に判断が難しく、親も悪気があって子供を褒めたり叱ったりしているわけではないので、一見すると問題ない家庭のように見えます。親子関係が悪くないことも多いです。
私は家族仲が悪いわけではないのに、なぜか自信が持てません…。という相談もよくいただくのですが、それはあなたが自分自身を犠牲にして良い子でい続けた結果、親子関係が悪化しなかったということかもしれません。
4.周囲の人との比較
影響を与えるのは家庭だけとは限りません。子どもは成長するに連れて学校や友人関係など、さまざまな環境において他者と接する機会が増えます。そして勉強やスポーツなど様々なことで比較され続けることになります。そして比較の中で『自分の価値』を測ろうとします。
あの子は自分より成績が良い、足が速い、身長が高い、などなど比較することは山ほどあります。そして自分が劣っていると「自分には価値がない。もっと能力を磨かないと…」という風に考えがちになります。
この時、親や教師などが「成績で劣っていてもあなたには価値がある」という風にポジティブなメッセージや愛を注いでくれていたら、それを拠り所にして自己肯定感を高めていけます。しかし逆に、親や教師などが競争を煽ってしまうと自己肯定感はどんどん低くなってします。
褒められたことよりも許されたこと
自己肯定感が低くなってしまう4つの環境要因を説明しました。虐待や育児放棄などは論外ですが、熱心な教育や褒めることが自己肯定感の低下に繋がるというのは意外だったかもしれません。多くの人が「褒められることは良いこと」と考えがちですが、自己肯定感を高めるためには、実は褒められた経験よりもむしろ、許された経験の方が大切になります。
褒められることの限界
褒められることは一時的な満足感や自信をもたらすことがあります。しかし、この評価は外部からのものであり他者の期待に依存するため、自己肯定感にはつながりにくいのです。ますます他者の評価に応えようと自分を犠牲にし、結果としてありのままの自分を認めることが出来なくなります。
許されることの重要性
一方、許されることは自己受容を促進します。自分のした失敗や自分の不完全さを受け入れられることで、「ありのままの自分でも良い」と感じることができます。その結果、「自分はありのままでこの世の中に存在してもいいんだ」という感覚が芽生えます。
失敗を経験して、それを許されることで、「自分には価値がある」という感覚が育まれるのです。さらに失敗を許される環境が整っていると、子どもは失敗を恐れずにどんどんチャレンジすることが出来ます。失敗しても大丈夫だからこそ、チャレンジを繰り返せるんです。その結果、自分のやりたいこと、なりたい目標に向かって前向きに努力を続けられるようになります。
愛着障害との関係
最近、愛着障害という言葉が非常に身近になりました。「私は愛着障害でしょうか?」といった相談も多く寄せられます。本来、愛着障害は子供に診断される子供の病気です。子供が親との間に心の結びつき『愛着』をしっかり作れなかったときに生まれる様々な障害のことを指します。
しかし実際に愛着障害と診断される子供は非常に少なく、『隠れ愛着障害』とも呼べるような子どもたちは、愛着を形成出来てないまま大人になっていきます。そして最近ではそれを『大人の愛着障害』と呼ぶようになってきました。大人の愛着障害と呼ばれる方は、自己肯定感が低く、自分に自信がなく不安を抱えていることが非常に多いです。
子供は親との愛着を形成する中で、「自分は他者に受け入れてもらえる。ありのままで生きていていいんだ」という実感を得る事ができます。これを基本的信頼感と呼びます。先ほど説明したような環境で育った場合、その愛着が形成しづらくなります。
その結果、「自分は◯◯しないと価値がない。他者に受け入れてもらえない」という風に、条件付きの価値しかないような思い込みを強く持つことになります。だから自信が持てないし、他者に嫌われていないかと不安を感じ続けることになるのです。
終わりに 自分を許していこう
今回は自己肯定感と家庭環境の影響、そして愛着障害との関係について説明しました。
自己肯定感を高めるには、今存在しているありのままの自分に対して、「そのままで生きていいんだ」という許しを与えることです。ありのままの自分で生きていけないと思っているのは、子どもの頃の家庭環境に毒された思い込みに過ぎません。
まずはあなた自身が子どもの頃を振り返り、ありのままの自分で生きられなかった、許しを与えられなかった過去を見つめ直しましょう。そして、ありのままの自分で生きることに、自分自身で許しを与えてください。
他の自分になることで自己肯定感を高めるのではなく、今の自分のまま生きていて良いと思える。それこそが本当の自己肯定ですから。過去から今日まで生きてきた自分自身を受け入れ、不完全な自分を許していきましょう。
また自己肯定感を高める方法については別の動画で説明したいと思います。ぜひそちらもご覧ください。
では、本日の内容は以上です。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
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